起訴状一本主義(きそじょういっぽんしゅぎ) |
刑事手続用語 - か行 | |||
公訴提起に際しては起訴状のみを提出し、証拠を提出してはならないとする原則を起訴状一本主義といい、刑事訴訟法256条6項が明文で採用しています。もし起訴状とともに証拠なども提出されるとすると、裁判官は被告人が有罪であるとの予断をもって公判に臨むおそれが強くなるため、そのような裁判官の予断を排除し、公平な裁判所を実現するために起訴状一本主義が採用されているのです。また、起訴状一本主義によれば、裁判官は事前に証拠に接する機会がないため、証拠調べの主導権を当事者に委ねることとなり、当事者追行主義の公判が実現されることとなります。起訴状一本主義に違反した場合は、起訴状は無効となり、公訴棄却の判決がされます。一度裁判官に与えた予断は治癒することができないからです。なお、略式手続では起訴状一本主義は適用されません。
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