警察官職務執行法(一般に警職法といいます)は、警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる、と定めており、これが職務質問です。そして、その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができるとも定めており、いわゆる任意同行といわれるものです。停止行為や任意同行の際の有形力の行使がどこまで認められるのかは、しばしば争われてきました。たとえば、酒気帯び運転の疑いがある場合に、自動車の窓から手を差し入れエンジンキーを回転してスイッチを切り運転を制止した行為が適法とされた判例もありますし、覚せい剤使用の疑いがあり、職務質問に続いて約6時間半以上現場に留め置いた措置は、任意捜査として許容される範囲を逸脱しているとされた判例もあります。適法な行為かどうかの境界線は明確ではありませんが、対象者の自由な意思が制圧されたといえる程度に達すれば、もはや任意とはいえないと考えるべきでしょう。
ご家族が逮捕されてしまった方へ[HOME]
|