Cビル管理会社管財事件会社に対して支払いが命じられた残業代の額:21万3993円 会社に対して支払いが命じられた付加金の額:10万5316円 不動産の管理や清掃を行っている会社の元従業員の方が、会社に対して残業代(時間外・休日・深夜労働割増賃金)の支払いを求めた事案です。元従業員さんは、元々、18時から20時30分までの間パートタイマーのホテル清掃係として働いていました。ところが、同じ会社に正社員としても雇われ、同じホテルで、22時から翌6時までの間も清掃係として働くようになったのです。 裁判では、パートタイマーの労働契約と正社員の労働契約の関係、元々予定されている深夜の労働について割増賃金の成否、時間外割増賃金の成否などが争われましたが、東京地方裁判所は、以下のような判断により、2006年7月26日、会社に冒頭記載の金額の残業代及び付加金(と遅延損害金)の支払いを命じました。 まず、パートタイマーの労働契約と正社員の労働契約の関係について、時給のパートタイマー契約と日給の正社員契約とは、契約の本質的要素に差異があり、別個の契約であるとされました。その上で、裁判所は、契約当事者も就労場所も同一で、勤務時間が違うだけであり、事実上時間外労働をしているのと変わりがないことなどから、18:00から20:30までの労働を、22:00から翌6:00までの勤務の時間外労働(早出残業)と位置づけました。 深夜割増賃金の点については,雇用契約書上、22:00から翌6:00までの勤務の対価として基本給・職務手当て合計7500円を支払うことが明記されており、深夜割増賃金の支払いを認識していないのが通常の当事者の意思であるから、特段の事情がない限り、7500円の中に深夜割増賃金は含まれているとされました。 これに関連して、7500円の中に深夜割増賃金が入っているとすると、深夜労働である22:00から翌5:00までの間と、5:00から6:00までの間の賃金部分の峻別ができず、労基準法に違反すると従業員は主張しましたが、この主張は、1時間の休憩時間は深夜労働対象時間内に取られており、深夜労働時間は6時間、それ以外の労働時間は1時間と一義的に決定することができるから、それぞれの時間の賃金の算出は可能であるとして、退けられています。 また、時間外賃金の成否については、パートタイム契約の勤務を正社員契約の早出残業としつつ、時間外労働の割増賃金の基礎となる基準単価はパートタイム勤務の時給1200円であるとして、1時間300円分(1200円×0.25)の時間外割増賃金の請求を認めました。
残業代請求が認められた事例 |