O出版社事件学会の企画運営や出版を行っていた会社の元従業員の方が、会社に対して残業代(時間外・深夜労働の割増賃金)の支払いを求めた事案です。裁判では残業時間の算定が争点となり、従業員自らが記入するワーキングフォーム(出退勤表)の信用性や正確性が問題となりました。 大阪地方裁判所は、ワーキングフォームの他の証拠との整合性を検討する中で、その信用性を減殺する事実として、①1週間分などまとめて記入することがあったこと、②残業していたはずの時間に、会社外のパソコンからメール送信していたこと、③残業してはずの時間に、飲食店で飲食していたことなどを挙げています。結論としては、ワーキングフォームは時間外労働の算定の資料として認められましたが、内容の正確性に疑問があることから、記載時間の3分の2程度に限定して時間外労働が認定されました。 なお、会社と従業員さんとの間では、残業は給与面で評価することとし、時間外手当は支払わない旨の合意がされていましたが、この不支給の合意は公序良俗に反するとして無効とされています。 2007年11月19日、大阪地方裁判所は、会社に対して、残業代約109万円と付加金25万円の支払いを命じました。
残業代請求が認められた事例 |